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免疫の意味論

免疫の意味論
価格: ¥ 2,310 / 発売日: 1993-04
売上ランキング: 9758 / 通常24時間以内に発送
おすすめ度:
感想:
自己と非自己を区別するのは、意識/考え方、といった脳の働きに由来する、
抽象的な現象ではなく、免疫に依存するという考え方は新鮮に感じた。
改めて考えてみると、身体的にはその通りだと思う。

他にも免疫を中心に、病気、自己寛容のシステム等、色々な記述があったが
やや難解であった何回か読み直して理解を深めたいと感じた。

現在、難病と言われる病気はほとんど自己免疫疾患であるし、花粉症、アレルギーなどの免疫の暴走はいまや身近。世紀末の病気 AIDS は後天的免疫不全症候群。となると、免疫とはいかなるもので、どのようなメカニズムで働くのか、上に挙げた病気はどう発病するのかなど、免疫に関する疑問は極めて現代的な問いである。本書には執筆時 (1993年) の免疫研究の最前線の知識の基づいて、これらの疑問に答えようとしている。免疫機構は複雑で、分かりやすいところもあれば、分かりにくいところもある。ランダムな変異で作られた様々な種類のT細胞うち、自己に反応するものが胸腺で破壊されることによって、自己以外の物質に反応する免疫機構特有の機能を持つ、というところまでは分かりやす。しかし、そこから先は、B細胞、インターロイキンたら、インターフェロンたら、免疫グロブリンやら、いろんな役者が複雑に絡み合って、飛行機の中で読んだのでは正確に理解するところまで行かなかった。実際にはまだまだ分かっていないことだらけなのだから、素人が分からなくても仕方ない。それでも、免疫機構の複雑さと、精巧さの一端に触れることができたのは、極めて興味深かった。しかも、それ、老化や癌、寄生虫との戦いなど、面白い話題へと発展していくのは、大変面白い。

途中何ヶ所かお経読みになりかけながらも、最後まで興味を持って読むことができたもう一つの理由は、著者が「自己とは何か」と言う問いかけを、様々な角度から提示し続けているからだ。免疫とは「自己以外を排除するメカニズム」に他ならない。従って、「自己とは何か」という問いは、免疫機構の本質そのものなのである。そして、場当たり的対応しかできない生物の各細胞の行動を見ていると、「自己とは何か」というのがいかに難しいことであるかがだんだん分かってくる。この辺は、脳科学において、脳の認識パターンが分かってくるほど、自我とは何かが簡単には言えなくなって来るのと並行的だ。

「自己とは何か」ゴーギャン流に言えば「我々とは何者か」は、いちばん「哲学哲学した問い」である。そこに、脳科学とか免疫学とか、科学の方法論に乗った分野が取り付いて来たのを見るのは面白い。哲学者に取っては、まだまだ「からめ手」からの攻めに見えるだろうが、頭の中だけという徒手空拳の哲学なんて、あるところで見事に押し流されることになりそうに思える。

上にも書いたように本書の出版は 1993 年である。それから15年間の免疫学の進歩はもう一歩の高みにたどり着いているのだろうか、それとも、壁に当たっているのだろうか。こちらも知りたいところだ。

生命の意味論

生命の意味論
価格: ¥ 1,890 / 発売日: 1997-02
売上ランキング: 57875 / 通常24時間以内に発送
おすすめ度:
感想:

 著者の多田富雄氏は、前著『免疫の意味論』(青土社,1993年)において、免疫学的な「自己」と「非自己」などについて、「超(スーパー)システム」という切り口をも援用しつつ、人間に関する多くの知見を、エッセー風にまとめて私たちに提示してくれた。免疫学や分子生物学など、私は全く門外漢であったが、それなりに興味深く読むことが出来た。

 当書は、前著の論点と重複する箇所も見受けられるが、特に、著者が強調する免疫系における「超システム」の概念をより普遍化すべく努めているとともに、人間社会(都市、企業、官僚制等)に対する考察にまで外延化を図っている。だが、「超システム」を社会科学の分析ツールとするには、さらに深化が必要かな、というのが私の率直な感想だ。

 それはともかく、本書第5章「性とはなにか」を読むと、かつて、サルトルの連れ合いであるシモーヌ・ド・ボーヴォワールが「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」(『第二の性』,1949年)と闡明したのだが、性の決定に関する研究が進んだ現代においては、「人は男に生まれるのではない。男になるのだ」と言い改めなければならないだろう(笑)。

 というのも、「男は女を加工することによって、ようやくのことに作り出された作品である」(P.116)らしい。そして、著者の「女は『存在』だが、男は『現象』に過ぎない」(同)という推断は、言い得て妙、蓋し名言である。こうなると、我々“オトコ”にとっては立つ瀬が無いのだけれども、しかし、文明論的あるいはジェンダー論的には大きな意味があるように窺える。


「免疫の意味論」でも少し触れられていたスーパーシステムの話にフォーカスしている.造物主としてのDNAに規定された生命という考え方から,もっと複雑で不確定なスーパーシステムによって運営される生命という考え方を引き出している第二章は刺激的.が,各章で述べられている各論がどうスーパーシステムに結びつくのかの説明はさほど多くない.各論としては,アポトーシス,サイトカイン・ネットワーク,老化などの話題が興味深い.

理想の国語辞典

理想の国語辞典
価格: ¥ 2,625 / 発売日: 1997-11
売上ランキング: 118702 / 通常24時間以内に発送


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